第36条第6項第2号について補正の示唆があった。この示唆に従えば、第29条第2項も同時に解消しますか?

(Q)第29条第2項と第36条第6項第2項の拒絶理由があり、第36条第6項第2号について補正の示唆があった。この示唆に従えば、同時に第29条第2項も解消しますか?

(A)解消するとは限りません。

 

以前は、第36条第6項第2号について補正の示唆があるということは、(審査官がわざわざそうしてくれるのだから)その補正の示唆に従えば特許になる、ということが多かったです。

しかし現状では、第36条第6項第2号については、積極的に補正の示唆をすることが奨励されています。内容によっては、補正の示唆を書かなければいけないケースもあります。このことは第36条第6項第2号の解消には非常に役立つといえます。しかし反面、補正の示唆に「特許になる示唆」という意味が薄れたともいえるのです。

補正の示唆があるからといって、第29条第2項についても同時に解消するとは言えません。第29条第2項については、第36条第6項第2号とはある程度別個に対応を検討した方がよいでしょう。

 

 

発明の効果の主張について

(Q)この発明は本当にすばらしいのですが審査官は分かってくれないようです。意見書でもっと発明の効果を主張すれば特許になりますか。

(A)発明の効果の主張よりも構成の違いを主張した方がよいでしょう。

 

発明が特許されるためには、拒絶理由通知で引用された文献に記載された発明と、構成がどう違うのかを主張することが大事です。審査官は、基本的には構成の違いで特許します。ただし、構成が違うといっても、とって付けたような違いではいけません。とって付けたような構成の違いだと、審査官は、単なる設計的事項であるとか、適宜なし得たことである、などと特許してくれません。

このときに、その構成の違いで、こんな効果があるんですよ、と主張すると、とって付けたような違いではないんだな、ということで、審査官は特許してくれます。

あくまで、構成の違いを主張することが主であって、発明の効果を主張するのは従と考えましょう。

 

 

引用文献がたくさんあるとき

(Q)拒絶理由通知で、たくさんの文献が引用されました。すべてに反論するのは大変です。良い手はありませんか?

(A)基本的には引用文献1を中心に反論しましょう。

 

第29条第2項の拒絶理由は、あなたの発明が、引用文献に記載の発明から容易に発明できた場合に、特許しないというものです。

ここで、「引用文献」とは、基本的には、引用文献1のことです。

つまり、あなたの発明は、引用文献1に記載の発明から容易に発明できたから、特許しないということです。引用文献1のことを「主引例」と言うことがあります。

 

では引用文献2以下は?

引用文献2以下は、「なぜ」引用文献1に記載の発明から容易であるのかの「理由」又は「証拠」として引用されたものです。引用文献2以下のことを「副引例」ということがあります。

引用文献2以下はこのような役割ですから、引用文献2以下に対して直接反論しても、第29条第2項の拒絶理由に対する反論としては弱い場合もあります。

あくまで主張のバランスの問題ですが、基本的には引用文献1を中心に反論するようにした方が効果的です。

 

 

意見書に、拒絶理由の内容や手続補正書の内容をコピペした方がよいか?

(Q)意見書に、拒絶理由の内容や手続補正書の内容を書いておけば、審査官は意見書だけ読めばよいので、手間が省けて審査官もうれしいですよね?

(A)意見書には、そういった内容を書く必要はありません。反論のポイントを端的に述べましょう。

 

審査官の手元には、拒絶理由通知書、手続補正書、意見書などがまとめて渡されます。これらの内容を意見書にすべて入れられても、かえって読みづらいと感じる審査官もいます。

一番の問題は、意見書のどこがポイントなのかわかりづらく、読むのに時間が掛かること。審査官も忙しいのです。

一方、ポイントを端的に記載してある意見書は読んでいてもすがすがしい。出願人・代理人が優秀だと分かると審査もしやすい。

意見書は、ポイントをわかりやすく書くようにしましょう。また、強調したい部分には、アンダーラインを引くのもいいですね。

 

 

<事例>本願発明:A+B、引用文献1:A、引用文献2:B

(Q)本願発明は、AとBを組み合わせたものです。引用文献1にはAだけが記載されています。引用文献2にはBだけが記載されています。どのように反論したらいいでしょうか。

(A)引用文献1に対する反論が中心になります。

 

第29条第2項は、引用文献に記載の発明から容易に発明できたときには、特許を受けることができないという規定です。ここで「引用文献」とは一般的には、引用文献1のことです。

つまり、審査官は、本願発明A+Bが、発明Aから容易に発明できた、と認定したわけです。「容易」についてかみくだいて言うと、「本願発明A+Bと、発明Aとの違いは、Bの部分だが、この違いは大したことない」、審査官はこのように判断したわけです。

えっ?なぜ大したことないの? → その理由(証拠)となるのが、引用文献2の存在なわけです。

決して、本願発明A+Bが、発明Bから容易に発明できたわけではありません。 

 

このように引用文献1と引用文献2とでは、その意味が異なります。

上記の審査官の判断を覆すためには、本願発明A+Bと、発明Aとの違いが、大きいんですよ、という主張が中心になります。

つまり、あくまでバランスの問題ですが、引用文献1に対する反論が中心になるわけです。

 

 

「備考」に十分な説明が無いときの考え方

・請求項1-5

・引用文献1-3

・備考

 引用文献1には・・・

 

(Q)請求項1-5についての拒絶理由なのに、備考欄には、請求項5についての十分な説明がありません。請求項5についてどう考えればよいでしょうか。

(A)「言うまでもなく拒絶」の場合と、「合わせ打ち」の場合があります。

 

備考欄はあくまで備考であり、ヘッダの部分(上記の「・請求項」と「・引用文献」)が拒絶理由のすべてである、と考える審査官もいます。そこまで極端でなくても、備考欄で簡単にしか書いてくれない審査官も多いですね。

特にこういう審査官の場合、備考欄に十分な記載がされていない請求項についても、審査官の心象は拒絶のことがあります。つまり、(枝葉の請求項は)言うまでもなく拒絶というわけです。その請求項で争って来られると、審査官も「まさかそこ?」という感覚になることがあるかも知れません。

 

一方、ある請求項には必ずしも明確な拒絶理由はないが、「拒絶の理由を発見しない請求項」とするにはためらわれるという場合もあります。その場合、とりあえず拒絶にしておいて、出願人の出方を待つということもあります。こういう拒絶理由は、まとめ打ちとか、合わせ打ちなどと言われます。この場合は、その請求項について十分な説明ができないわけです。その請求項で限定すればあっさり特許になることもあります。

 

上記をどう区別するかですが、その十分な説明の無い請求項の内容が、「設計事項」、「ありふれた内容」、「大した効果が無い」などに近いとき、いわゆる枝葉の内容であるときは、前者のことが多いです。そうでないときは、後者のことが多いです。

後者の場合は、その請求項で争うのであれば、いきなり拒絶査定されることはほとんどないと思われます。審査官は、本来なら拒絶理由の段階で記載できた理由などを、拒絶査定の段階で後から付け加えることは、あまりよろしくないと考えるからです。

 

 

同じ引用文献で、もう一度拒絶理由通知が来た。

(Q)拒絶理由通知に対して、意見書と手続補正書を出したら、引用文献は変わらず、もう一度、拒絶理由通知が来ました。最後の拒絶理由通知ではありません。これはどういう意図でしょうか。

(A)①もう一度機会を与えてくれたケースや、②一回目の拒絶理由通知に不備があったケースなどが考えられます。

 

①審査官が、この出願は最終的には特許になるだろうと判断した場合、審査官はなんとか特許にしようと誘導します。出願人側の対応が十分でなかった場合など、同じような内容の拒絶理由を通知して、再度意見を述べる機会を与えることがあります。

 

②一回目の拒絶理由通知に不備があった場合、その不備を是正するために、引用文献は変えずに、同じような内容の拒絶理由を通知することがあります。

 

なお一般に、引用文献を変えずに、一回目の拒絶理由が解消されない場合には、拒絶査定となります。「最後の拒絶理由通知」にはなりません。引用文献が変わらない以上、「補正によって生じた拒絶理由」(=最後の拒絶理由)とは言えないからです。

 

 

「先行技術文献調査結果」の意味は?

(Q)引用文献とは別に、「先行技術文献調査結果」の欄に文献が挙げられています。これらの文献はどのような意味でしょうか。

(A)拒絶理由の引例としては使えないけど、せっかく見つけたのだから、読んでおいてくださいね、程度の意味です。

 

「先行技術文献調査結果」に挙げられた文献にまで、出願人(代理人)も手が回らないことは審査官はわかっています。

ですので、上記のとおり、(できれば)読んでおいてくださいね、程度の意味合いであることが多いと言えます。またいろんな意味で、自分(審査官)のためのメモ的なものであることもあります。

 

ただし審査官の中には、「先行技術文献調査結果」に挙げた文献に記載された内容で補正したら、この文献で拒絶するよ、という意味で文献を上げることもあります。

特に、補正で新たな構成要素を追加する場合など、その構成要素が先行技術文献調査結果に挙げられた文献に記載されていないかなど、簡単に目を通すのも有効です。

 

 

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